Celtic Dragon 第8話 魔物と人間 エリーニ♀(14)平和 世間知らずで元気で無邪気。 田舎のレイドル地方から冒険者になりたくて首都に出てきた。 レイシオ♀(19)戦士 気が強いが、見栄っ張りな一面もある剣士見習い。 エリーニのお姉さん的な存在。 フートルース♂(35)気まま 自由気ままに生きている冒険者。 なんだかんだで世話焼きな性格。 ディナミス♂(38)力 力を至上のものと考える国王。 自らも剣を握り、前線で戦う。 サーヴレット♂(27)仕える 真面目で紳士な宮廷魔術師。 炎の魔法と得意とし、王国の魔法兵団を始め軍師として王国兵団を指揮している。 メロディア♀(24)旋律 寡黙で無感情。 魔族の吟遊召喚士。 タナトス♂(38)死 言葉巧みな死神。 魔物のなかでも上位妖魔に位置する。 レイシオ:はぁ、はぁ……ほんっとに、あんたは……。 エリーニ:あっ……。 メロディア:……また、会ったわね。 タナトス:なんだ、この人間共は。 レイシオ:魔物!? ちょっ……どういうこと……? フートルース:……音楽……か。        霧の城で会った時からまさかとは思ってたがよ……。 エリーニ:……やっぱり、あなただったんだ……。 レイシオ:え? ええっ? タナトス:私にも話が見えんな、説明してもらおうか。 メロディア:あなたたちが思っている通りよ。       テラーズを召喚したのは私。       ……私は魔物、吟遊召喚士メロディア。 レイシオ:っ!? エリーニ:なんで……なんであなたは魔物を召喚して人間を襲うの? タナトス:襲う? 我々は襲われた方なのだが? エリーニ:えっ? タナトス:少し人間界の方へ足を踏み入れたらすぐにこれだ。      人間の排除癖(はいじょぐせ)にも程がある。       SE:足音 ディナミス:その言葉、そっくりそのまま返してやろう、魔物よ。 タナトス:なんだ、この国の国王か。      昨日は世話になったな。       ディナミス:我々が貴様ら魔物の住む界隈に足を踏み入れたならば、容赦なく襲ってくるではないか。 タナトス:それは我らが領域を侵すからだ。      近づかなければ襲いはしない。       ディナミス:ふん……堂々巡りだな。       これだから魔物は……。        エリーニ:……これだから、なんて言わないで……。 レイシオ:エリーニ……? エリーニ:なんで……なんで人間と魔物は争うの? メロディア:……魔物にとっては、人間の世界は息苦しいのよ。       私達魔物は荒廃した土地を好む。       人間の住んでいる町や村には、魔物は住めない。        レイシオ:だ、だからって、あたしたちの町や村を襲うことはないじゃない! タナトス:言っているであろう、領域を侵しているのはどっちだ。      荒廃した大地を開拓し、勝手に町を繁栄させ、我々魔物を追い出しているのはお前達人間だろう。      我々はそれを取り返しているだけだ。       ディナミス:取り返す? 何を都合のいいことを。       お前達がやっているのは破壊と殺戮ではないか。         メロディア:破壊と殺戮が私達魔物の本能、言わば、生きていく術(すべ)よ。       私から見れば、人間の創造と繁栄の本能が理解できないわ。       闇に堕ちてこそ、在りしものを破壊してこそ、住みやすい世界になるのに……。       ……人間と魔物の本能は全く別物、分かり合えるはずもないのよ。        タナトス:死してなお強くなる闇の力、人間にはそれが分からぬのか。        ディナミス:……ふん、分かろうとも思わん。       これ以上論議を続けても無駄なようだな。       所詮は弱肉強食、力がある者が生きていくのみだ。 SE:剣 タナトス:ほう、人間の王よ、ここで我らと戦おうというのか? フートルース:お前らが俺らの世界が気に入らねぇってんなら仕方ねぇ。        俺らもお前らの世界は気にくわねぇからな。        ディナミス、今回はお前に賛同するぜ。        力あるものが生き残る、それだけだ。         サーヴレット:死を司る魔物、タナトス……。        レイシオ、今回は私にまかせてもらおうか。 レイシオ:……分かったわ、兄さんに魔力を集中させる。      ちゃんと焼き払いなさいよね。       サーヴレット:相変わらず口の減らん妹だ……。        まかせておけ、炎の力ならお前に引けを取らないと自負している。 フートルース:昨日といい、今日といい、あの頃を思い出すな。 ディナミス:お前にとっては思い出したくない過去か? フートルース:いいや、悪かねぇ。        俺は剣を振るうことが嫌いだったわけじゃねぇ。        国に属して自由が奪われるのが嫌だっただけだ。         ディナミス:ふ……そうか。       ならば、あの頃のようにお前が先陣を切るといい。       私は期を見て斬り込もう。        フートルース:おう。        いくぜぇ! エリーニ:……やめてぇぇぇ!