Celtic Dragon 第5話 商業都市 エリーニ♀(14)平和 世間知らずで元気で無邪気。 田舎のレイドル地方から冒険者になりたくて首都に出てきた。 レイシオ♀(19)戦士 気が強いが、見栄っ張りな一面もある剣士見習い。 エリーニのお姉さん的な存在。 フートルース♂(35)気まま 自由気ままに生きている冒険者。 なんだかんだで世話焼きな性格。 ディアヒル♀(37)管理 色気のある大人の女性。 冒険者組合の受付、管理を行っている。 レイシオ:ねえ、もうちょっと、もうちょっとだけ安くならない? 店主:んなこと言われてもねぇ、もうずいぶん値下げしてんだ。 レイシオ:えー、でも、今手持ちのお金少ないし。 店主:金作ってまた来ればいいだろ。 レイシオ:それまでに売れちゃうかもしれないじゃん!      ね、もうちょっとだけ〜。 エリーニ:うわあ、なにこれ、キレイ〜。 店主:おっと、譲ちゃん、それは高いから気をつけて扱ってくれよ。 エリーニ:ねぇねぇ、レイシオ、これ買って〜。 レイシオ:えぇ? なんであたしが買ってあげなきゃいけないのよ。      自分でお金貯めて買いなさい。       エリーニ:えー、ケチ〜。 店主:ケチってなあ、その紫水晶の指輪は10万ゴールドするんだ。    今あんたが値切って買おうとしてる銅の首飾りとは違うんだ。     レイシオ:……ほら、エリーニ、それに触っちゃダメよ。 エリーニ:え〜、とってもキレイなのに〜。 レイシオ:あんた、なくしちゃったらどうするのよ。 エリーニ:大丈夫だよぉ。 レイシオ:財布を落としたのはどこの誰だっけぇ? エリーニ:あ、あれは違うもん! フートルース:はぁ……いつまでやってんのかねぇ、あいつら。 ディアヒル:女の子にとって買い物は楽しいものよ。 フートルース:つっても、もう一時間だぜぇ?        いくらなんでも居座りすぎだろ。         ディアヒル:いいんじゃないの?       店主さんが追い返さない辺り、結構暇なんじゃないかしら、このお店。        フートルース:この商業都市で暇な店なんてあるんかねぇ。        それはそうと、ディアヒル、なんでお前がここにいるんだ?        組合の仕事はどうしたよ。         ディアヒル:営業よ。       なんでも、この商業都市の近くで国が魔物掃討の戦争を仕掛けたらしいじゃない。       もう遅いかもしれないけど、傭兵として仕事ないかしらね〜、と思って足を運んだの。       そしたら、あんた達にたまたま会った、て訳。 フートルース:そりゃあ仕事熱心なこって。 ディアヒル:あんたとは違うのよ。       スレフ村の仕事の報告はどうしたの?        フートルース:ああ、終わったからこうやって買い物に来てんじゃねぇか。        ちょっと寄り道して報告に首都に帰ろうと思ってよ。         ディアヒル:ふ〜ん、終わった、ねぇ。       終わってた、の間違いじゃないかしら?        フートルース:……抜け目ねぇな。 ディアヒル:それが仕事ですもの。       あんた達が出発して1時間くらいしたら国から通達が来たわ。        フートルース:国が片付けるって分かってんなら、なんでそんな仕事まわすかねぇ。 ディアヒル:あの二人が初心者だからでしょ。       いきなり戦争の傭兵なんてまかせられるわけないじゃない。       スレフの村は霧の城の近くだし、ちょうどいいと思ったのよ。        フートルース:まあ、あいつらはいい経験になったろーがな。        俺への手間賃ははずんでくれよ。         ディアヒル:はいはい、分かってるわよ。       初心者冒険者教育費として加算しておくわ。        エリーニ:うわあ、すごい! ねぇねぇ、なにこれ! 店主:お、譲ちゃん目が高ぇなぁ。    そいつは炎の魔力が込められた剣だ。 レイシオ:この剣、サラマンダーの炎の魔力が封じ込まれてるね。      そうねえ……3万ゴールドってとこかしら? 店主:う……そっちの譲ちゃんも見る目はあるようだな。 レイシオ:そうよー、あたしだって魔力を感じるものくらい見分けはつくわよ。      だーかーらー、この銅の首飾り、900ゴールドにまけてよ〜。      こっちの銅の指輪と違って精霊の魔力も込められてないんだから〜。       店主:あー……価値が分かるってんなら仕方ねぇな。    950でどうだ。     レイシオ:もうひとこえー! 店主:元々は2000ゴールドで売ってて、もう半額以下なんだ、そろそろ買ってくれよ。 レイシオ:900っ、900ゴールドまでまけてくれたら買うからっ。 フートルース:魔力を見る目がある、ねぇ。 ディアヒル:どうしたの? フートルース:いや、レイシオのことなんだが、霧の城で魔物と一戦やってきたんだ。        その時に思ったんだが、あいつは剣士よりも魔法使いの素質の方があるんじゃねぇかって。         ディアヒル:ふぅん。 フートルース:剣の腕はからっきしだったが、初歩的な魔法は立派に使えてた。        魔法なんてもんは、ちゃんと勉強しなきゃ使えねぇもんなのによ。         ディアヒル:そうね、剣士は剣を持つだけでさまにはなるけど、魔法使いは実際に魔法が使えて初めてさまになるものね。       あたしも初めて魔法を使えるようになるまで2年かかったわ。        フートルース:俺も一年かかったな。        ま、あくまで教養として覚えただけなんだけどな。        それと、エリーニのやつ、あいつは……。         SE:地響き エリーニ:うわっと、なに? レイシオ:な、なんかすごい音がしたけど……。 フートルース:なんだ? ディアヒル:魔物掃討の戦争、何か進展があったのかしらね……。 エリーニ:ねぇ、フートルースさん、この音なに? フートルース:さぁ、俺にも分かんねぇ。 SE:地響き ディアヒル:間違いないわね、この方向は国が布陣している方向。       これは仕事のにおいがするわね。       フートルース、行く?        フートルース:あんまし国には関わりたくねぇんだけどなぁ。        こいつらはどうするよ。 エリーニ:行こう! SE:足音 フートルース:あっ、おい、待て! レイシオ:ちょ、ちょっと、エリーニ!? SE:足音 フートルース:あー、もう、お前ら! ディアヒル:仕事は私が取り付けといてあげるわ。       また教育費もはずんであげる、いってらっしゃい。        フートルース:あー、くそ!        めんどくせぇな、ったく!         ディアヒル:くれぐれも、あの子達に怪我させないようにね。 フートルース:分ぁってるよ!