Celtic Dragon 第3話 霧の城 エリーニ♀(14)平和 世間知らずで元気で無邪気。 田舎のレイドル地方から冒険者になりたくて首都に出てきた。 レイシオ♀(19)戦士 気が強いが、見栄っ張りな一面もある剣士見習い。 エリーニのお姉さん的な存在。 フートルース♂(35)気まま 自由気ままに生きている冒険者。 なんだかんだで世話焼きな性格。 メロディア♀(24)旋律 寡黙で無感情。 魔族の吟遊召喚士。 レイシオ:はぁ、はぁ……あんた、結構足はやいのね……。 フートルース:何の音がしたってんだよ、早く帰るぞ。 エリーニ:音……きれいな……いや、禍々しいような……音楽。 フートルース:はぁ? 何言ってんだ? レイシオ:……何も聞こえないわよ? フートルース:ほれ、早く帰るぞ。        それに、この辺りはいろいろと面倒だ。         レイシオ:面倒? なにかあるの? フートルース:ああ、この辺りは……。 エリーニ:こっち! レイシオ:あ、ちょっとー! SE:足音 レイシオ:あっ……。 メロディア:……なに? あなた達。 エリーニ:お姉さんが弾いてたの? メロディア:……聞こえていたの? エリーニ:うん、きれいだけど……なんか嫌な感じの音楽……。 フートルース:あー、悪ぃな、こいつが音が聞こえるー、ってうるせぇもんだからよ。        別に悪気もなければ用もねぇんだ。         メロディア:……この辺りは魔物がよく出るから気をつけた方がいいわ。 レイシオ:うぇ、そ、そうなの? フートルース:……おう、お前さんもな。 メロディア:……。 SE:足音 エリーニ:行っちゃった……。 フートルース:いい加減帰るぞ。 レイシオ:ねぇ、この辺りって本当に魔物がよく出るの?      さっきもおっさん面倒だ、って言ってたし……。       フートルース:ん? あぁ、まあな。        向こうに大きな城が見えるだろ。         エリーニ:城……うわあ、霧の中に大きなお城がある! フートルース:お前、先陣きって走っていったくせに気付いてなかったのかよ。        まあ、いいけどよ。        あの城は廃墟なんだ。 エリーニ:えっ? こんなに立派なお城なのに。 フートルース:この城がいつからあったのかは知らねぇ。        けどな、この城を巡って人間と魔物が何度も争いを繰り返していたのは有名な話だ。        そのせいで今では誰も寄り付かねぇ廃墟になっちまった。         レイシオ:なんでこの城を巡って争いが起こるの? フートルース:この城の向こう側は魔物が住む世界だ。        ちょうどこの城が人間の世界と魔物の世界の狭間になる。 レイシオ:だ、だからこの辺りは魔物がよく出るって……。 フートルース:そういうこった。        人間の世界では、魔物が侵入してきたら今回の仕事みたいに追い払うだろ。        ここは、人間の世界でも魔物の世界でもない。        だから、両方が自由に入ってこれる場所だ。        人間の世界の治安なんて通じないぜ。         レイシオ:ひぃ〜……は、早く帰ろ……。 エリーニ:なんで……なんで人間と魔物は争うの? フートルース:知らねぇよ。        昔っから魔物は人間を襲う、だから戦う、それだけのことよ。         エリーニ:魔物も、人間に襲われてるってことじゃないのかな。 フートルース:おいおい、そんな甘っちょろいこと言ってたら冒険者としてやっていけないぜ?        今回の仕事みたいに、冒険者と魔物は切っても切れねぇ関係だ。        それに、人間と魔物が仲良くなっちまったら、俺ら冒険者は商売あがったりだぜ。         レイシオ:そうだよね、仕事がなくなっちゃうもんね……。      そ、そんなことより、話は帰ってからにしよう、ね?       エリーニ:うん……でも……。 フートルース:……あー、気が変わった、せっかくここまで来たし、魔物と一戦やってから帰るか。 レイシオ:えっ? フートルース:あんまし立ち話するもんだから、やっこさんの方から来やがった。 SE:魔物の声 レイシオ:あっ、あわわわわ……! フートルース:ほれ、ぼさっとしてねぇで、行くぞ! SE:剣の音 エリーニ:すごい! 大きな剣! フートルース:ああ、この両手剣が俺の獲物だ。        いくぜぇ!         SE:戦闘音 エリーニ:すごい、すごーい! レイシオ:わひぃ……! フートルース:お前も剣士を目指してるんならちったぁ頑張れ! レイシオ:えっ? あ、う、うんっ……! エリーニ:がんばれー、レイシオー! レイシオ:え、えいっ! SE:剣の音 フートルース:おわっ!? おい、てめぇ!        俺を斬りつけてんじゃねぇよ!        敵をちゃんと見ろ、目ぇつぶって剣振ってんじゃねぇぞ!         レイシオ:あわわ、ご、ごめんなさい! フートルース:ったく、お前らのために雑魚を残しておいてやっから始末しとけよ! SE:足音、剣の音 レイシオ:あっ、ちょ、ちょっとお! エリーニ:よぉ〜し、いっくよお! レイシオ:えっ?