Format for Virus File No2. Analyze ■ リオール 20歳 ♂ 【強気系】 ■ ルージェ 16歳 ♀ 【無感情系】 ■ ベイーレ 19歳 ♀ 【強気系】    (島に向かうヘリの中) リオールM「そして俺は人工知能搭載のアンドロイド、ルージェと共に再び本国を発った。       自分もウィルスの感染の可能性があるということは分かっていた。       それを承知でこの依頼を受けた。       だが、こうもあっさりと切り捨てられるとはな……」       リオール「それで、俺はどんなデータを集めればいいんだ?」 ルージェ「はい、まずは症状データの収集、原因となっているウィルスのサンプル入手です」 リオール「そんなこと改めてやらなくても……」 ルージェ「私にはウィルス解析機能が搭載してあります。      現在もウィルス情報の解析中です。      解析にはまだ時間がかかります」       リオール「分かった分かった、それでウィルス検査機能もついているのか?」 ルージェ「検査機能も搭載していますが、まだウィルス情報のデータが足りません。      実際の症例、発生源の情報を蓄積し、ウィルス情報の特定を行い、それにより検査を行います」       リオール「はぁ……なんでもいいからとりあえずデータを集めろってことか……」 ルージェ「現時点での検査機能の精密度は17%です。      また、治療方法の解析進捗は2%です」       リオール「まだ全然だな。      それで、今の時点で俺が感染しているかどうかの検査をしたら結果はどうなる?」       ルージェ「採血検査を行います、右手を出してください。      レントゲンカメラON、各種放射線検査開始、細胞解析機能での測定開始……」       リオール「一度にずいぶんと多くの検査ができるんだな」 ルージェ「結果が出ました。      現在の検査精度17%でのマスターのボストレーウィルスの感染結果は陽性です」       リオール「……17%の確率で俺は感染しているということか。      いや、確実に感染している可能性が17%てことか……。      って、マスター?」       ルージェ「はい、私はあなたの助手としてプログラミングされています。      失礼ですが、マスターとお呼びさせて頂きます」       リオール「そうかい……勝手にしろ。      島に着陸するぞ」       ルージェ「バイオハザードレベル不明、空気中に微量の未確認ウィルスが浮遊しています」 リオール「未確認?」       ルージェ「おそらくはボストレーウィルスです。      ボストレーウィルスは大気中でも生存することが確認されています」       リオール「推測もできる人工知能か、また高性能だな。      しかし、これならば空気感染は必至……」       ルージェ「付近の目標ウィルスのサンプリング開始。      取得完了、解析開始」       リオール「あー、そういう報告はいちいちしなくて構わないよ」 ルージェ「分かりました、今度の処理については重要度5以上の情報のみの報告とします」 (島の隔離研究施設) リオール「よう、昨日ぶりだな」 ベイーレ「あら、昨日の調査員さん。      また調査にきたの?」       リオール「ああ、本国に追い出されてきたよ」 ベイーレ「えっ?」 リオール「残念な知らせだ。      どうやら俺はこの島で広がっているウィルスに感染したようだ」       ベイーレ「え……ということは私も……」 リオール「おそらく、な。      おい、ルージェ、ベイーレにも一応検査してやれ」       ルージェ「はい、マスター、検査を開始します」 ベイーレ「この子は誰なの?」 リオール「本国が用意した人工知能搭載のデータ収集アンドロイドだ」 ベイーレ「この子がアンドロイド?      とてもそうは見えないくらい精巧にできてるわね……」       ルージェ「結果が出ました。      現在の検査精度19%でのベイーレさんのボストレーウィルスの感染結果は陽性です」       ベイーレ「……っ!」 リオール「だそうだ。      まだ検査精度は低いが、その結果だけでもお互い感染しているってわけだ」       ベイーレ「……はぁ……覚悟はしていたんだけど……ね……。      そうであれば話は早いわ、この隔離施設も意味がないってことね」       リオール「まだ決まったわけじゃない。      ひとまずは厳重に注意しながらデータ収集を行おう。      ルージェ、隔離施設内の患者からデータを収集してくれ」       ルージェ「分かりました。      施設の隔離レベルは2ですね。      各種隔離ブロックのロックを自動解除して調査に向かいます」       ベイーレ「万能なロボットさんね。      一人で十分だったんじゃないかしら」       リオール「ロボットはあくまでロボットだよ。      いくら人工知能とはいえ、自我を持たせることは難しい。      あくまで人間の道具でしかないよ」       ベイーレ「それであなたがマスター、というわけね」 リオール「俺も乗りかかった船、もう後戻りはできない。      島の住民のためなんて奇麗事は言わないぜ。      俺自身のために仕事をする」       ベイーレ「それは私も同じことよ。      こうしている時間も勿体無いわ、こっちはこっちでデータ収集を進めましょう」       リオール「そうだな。      おい、ルージェ、聞こえているか?」       ルージェ「はい、マスター、通信機能に問題ありません」 リオール「こっちの会話もデータとして蓄積してくれ」 ルージェ「分かりました」 ベイーレ「それじゃあ、すぐにでも話を始めましょう。      一番最初の感染者は、おそらく7日前の地質調査を行っていた研究団の隊員だわ。      その時感染したと思われる8人は現在では全員がこの前話したように症状が悪化しているわ」       リオール「その地質調査が一番あやしいということだな」 ベイーレ「そう、でも、その話はまだ置いておいて、先に現状の話をしておくわ。      あなたが昨日、本国へ帰った後、最初の死者が出たわ。      死因としては……一番近いのは老衰ね」       リオール「老衰?」 ベイーレ「ええ、全身の機能が衰えるように停止していき、感染者は眠るように息をひきとったわ」 リオール「昨日の話では、五感を始めとして徐々に体の神経が停止していくような症状だったな」 ベイーレ「そして、今日あなたが来るまでに死者は6人となった。      最初の感染者と推測される研究員の残り2人も……」       リオール「ボストレーウィルスは空気感染することが確認されている。      当然、研究者以外の感染者も出ているんだろう?」       ベイーレ「実際に症状が出ている感染者は、確認できている人数だけで14人いるわ」 リオール「俺もベイーレも感染しているとなると、このウィルスは潜伏期間があるんだろな。      あんたはずっとこの施設で働いていたのか?」       ベイーレ「……いや……私は5日前にここに……この隔離施設に配属されたばかりよ」 リオール「ということは、少なくとも潜伏期間は5日以上か。      とはいえ、その地質調査が原因と断定はできないけどな」       ルージェ「マスター、この施設に収容されている感染者のデータ収集が完了しました」 リオール「ああ、そうか、分かった。      これからその地質調査の現場に向かう。      ベイーレ、場所を教えてくれ。      現地には俺とルージェで向かう」       ベイーレ「分かったわ。      今は立ち入り禁止になっているけど、気にせず施設に入ってもらって構わないわ」       リオール「その間にベイーレは研究員と接触した者と感染者とに因果関係を調べておいてくれ」 ベイーレ「……了解、調査員さん」 (地質調査施設) ルージェ「現場に到着しました」 リオール「ここか。      地質調査施設、ね……まるで隔離施設のようだな」       ルージェ「施設の簡易調査を行います。      ……この地質調査施設自体が、先ほどの隔離施設並の研究・隔離能力があります」       リオール「地質調査になぜここまで設備が必要になる?      島の研究員はすでにここが原因だったと分かっていたのか……?」            ルージェ「ボストレード島地質調査プロジェクト、現在は地下2700kmまで調査が進んでいます」 リオール「2700km?      そんなに深いところまで調査が進んでいるのか。      ここにいても仕方がないな、とりあえずはその地点まで向かうぞ」       ルージェ「分かりました。      高速エレベーターの暗号解析開始……ロック解除しました」       リオール「ったく、お前は本当に万能だな」 (地質調査施設のエレベータ内) ルージェ「バイオハザードレベル4、大気中のボストレーウィルスの濃度が規定値を超えました。      規定値を超えたのは地表から2477kmを超えた地点からです。      現在の深さは2491km、徐々にウィルス濃度は高くなっています」       リオール「やっぱり原因はこれか……。      今さら警告を出されてもちっとも驚かねぇな」       ルージェ「現時点でのこのエレベーターで向かえる地点、地下2718kmまで到着しました。      この地点でのボストレーウィルス濃度は最大値ではありません。      最大濃度を記録したのは2500km地点付近です」       リオール「地質調査のことについてはよく分からんが、ボストレーウィルスの原因はここで間違いはないな」 ルージェ「はい、おそらくはこの地層から漏れ出たボストレーウィルスが研究者に感染したのでしょう」 リオール「それが分かればもうここには用は無いな、戻るぞ」 ルージェ「いえ、マスター、待ってください。      ここでもサンプリング調査を行った方が……」       リオール「どうせ結果は同じだろう?      お前には分からないと思うが、俺は怖いんだ」       ルージェ「怖い?      それは……マスターの感情ですか?」       リオール「ああ、早ければ俺も5日後には死ぬんだ。      それを考えると早く解決策を見つけたい。      俺は地質研究者じゃない、ただの調査員だ」       ルージェ「ですが、現場を調査することも……」 リオール「ああ、じゃあ勝手にしろ!      俺は先に施設に戻っている、終わったら一人で戻って来い」       ルージェ「……はい、分かりました」