Knight Memory Tale 第六話 追憶と決意 ルフェリア:(♀) 強気、軍人 サジタリス:(♂) おちゃらけ系だけど、軍師としての才能は秀でている ファルム兵士:(♂) ありきたりな忠誠心のある兵士 ルサーガ兵士:(♂) 気のふれた兵士 娘 (♀) 村娘 サジタリス:よし、敵の前列左翼の戦列が乱れた。 ルフェリア、騎兵隊二個小隊を率いて遊撃だ! ルフェリア:ああ、分かった、いくぞ!       伝令だ、右翼後方で待機している第二騎兵部隊と第三騎兵部隊、突撃だ! ファルム兵士:はっ! かしこまりました! ルフェリア:私は先陣から斬り込む、伝令と指揮は頼んだぞ! ファルム兵士:はっ! お気をつけて! サジタリス:……しかし妙だな……敵の左翼は比較的防御が脆かったな。       近くに民家が多いからか?       あの周辺は森もなく奇襲などの罠とも考えづらい……。       だが、中央と右翼が拮抗している今は左翼を狙うのが理にかなっている。 ルフェリア:……おかしいな、もう敵の左翼付近には着いたはず。       なんだ、この兵の少なさは……。 ルサーガ兵士:おおおお! ルフェリア:ふっ! ルサーガ兵士:ぐあっ!? ルサーガ兵士:ちっ、うおお! ルフェリア:貴様らじゃ相手にならん! ルサーガ兵士:うわあああ! ルフェリア:ちっ、しかもいるのは二等兵以下の雑兵(ぞうひょう)ばかり……。       部隊長らしい姿すら見えんな……罠か?       ……あれは?       火? 火攻めか?       っ!? 違う、あれは民家の火!? ルフェリア:なんだ……この燃え広がりようは……!?       仮に火矢が流れ飛んできても、ここまで同時に火災は発生しないはず……。       ちっ、どういうことだ! ルサーガ兵士:だ、誰だ!? ルフェリア:なっ……!?       貴様はルサーガの兵士だな……なんだ? その手に持っている松明(たいまつ)は……。 ルサーガ兵士:う、うああっ! ルフェリア:ちっ……! ルサーガ兵士:ぐああ! ルフェリア:なぜ自分の国の領土の民家に火を放つ?       気でも狂ったか……?       ……まさか? ルフェリア:ちぃっ! ルサーガ兵士:ひぃっ!? ルフェリア:貴様もか……その松明は何だ? ルサーガ兵士:ちっ、近寄るな! ルフェリア:おい、答えろ!       なんのために民家に火をつけている!? ルサーガ兵士:ち、違う! 俺はターグ様の命令に従っただけだ! ルフェリア:どういうことだ?       貴様は自分の国の民家に火を放てと命じられたのか? ルサーガ兵士:ち、近寄るなああ! ルフェリア:貴様……その娘は人質のつもりか?       分かっているんだろうな、貴様が人質としようとしているその娘は自国民だぞ? ルサーガ兵士:やめろ! ち、近寄るな! ルフェリア:貴様が殺したのか? その娘は……!       死体に剣を向けて何が人質だ! ルサーガ兵士:ひいっ!       も、燃えてしまえば、そ、そこで何しようが勝手だろ……へへへ……。       この家の親は……抵抗したから、こ、殺しちまったよ……。       む、娘は若かったから……。 ルフェリア:……いのか……。 ルサーガ兵士:な、何だ? ルフェリア:貴様に兵士としての誇りはないのか!! ルサーガ兵士:ひぃっ!? ファルム兵士:サジタリス様! サジタリス:何だ? ファルム兵士:敵の前列左翼から火があがっています!        火攻めを計画されていたのですか? サジタリス:バカな、こんな平野で火攻めなど……。       私は裏でもそんなことを軍略として組み込んだ覚えはないぞ。 ファルム兵士:それが……我が軍が民家に火を放ったとの報告が……。 サジタリス:なんだと!?       そのような非人道的な行為は許していないぞ!       すぐに調査して民家に火を放った者を連れて来い! ファルム兵士:はっ……! ルサーガ兵士:ひぃぃっ! ルフェリア:……貴様もか……。 ルサーガ兵士:よ、寄るなああ! 近寄るなああ! 娘:たっ……助けて……! ルフェリア:……貴様も……火を放てと命じられたのか……? ルサーガ兵士:盗んだ金は返す! この人質も解放する! だから見逃してくれ! 娘:いやあ! 助けて! ルフェリア:……国民を守るのが兵士ではないのか……? ルサーガ兵士:くっ、来るな! ルフェリア:……この国には何十人の賊が仕えているんだ……。 ルサーガ兵士:来るなってんだよ! ルフェリア:貴様らはそれでも人間か!! ルサーガ兵士:ひいっ……! 娘:あっ……く……。 ルサーガ兵士:み、見逃してくれ! 人質も解放する! ルフェリア:…………うおああああああ!!! ルフェリア:怒りで我を失った……か……。       そんな生易しいものではなかったか……。       あのような行為を容認する国、指示する軍師……私は許さんぞ……。       ……ディルグ、リュティ……。       この……髪とともにお別れだ……。