Knight Memory Tale 第五話 居るべき場所 ルフェリア(♀) 強気、軍人 ディルグ(♂) ぶっきらぼう、現実主義 ターグ(♂) 偉そう、嫌なやつ サジタリス(♂) おちゃらけ系だけど、軍師としての才能は秀でている 兵士(♂) 脇役。ありきたりな忠誠心のある兵士 ルフェリア:……まさか、こんなことになるなんてな……。       確か……平野の戦いに勝利した後は一気に攻め込むてはずだったな。       急いで戻らねば。 ディルグ:やっぱりここに来ていたか。 ルフェリア:っ! ディルグ! ディルグ:まさかとは思っていたが、ここに来るなんてな。 ルフェリア:……私もなぜここに寄ったのかは分からない。       ディルグ、お前に会ったこの場所に……。 ディルグ:……本当にお前はファルム連合国の将軍なのか? ルフェリア:……ああ、そうだ。 すべて、思い出した。 ディルグ:戻るのか? 国に。 ルフェリア:……ああ。       ……お前にも世話になったな。 礼を言う。 ディルグ:誰もお前を世話した覚えなんてないぜ? ルフェリア:何を言う、食事も、宿も……。 ディルグ:俺が世話をしたのはファルム連合国の将軍ルフェリアじゃない。      新しい姉貴のルフェリアだ。 ルフェリア:……そうか……。       ならば、お前の姉、ルフェリアは死んだ、たった今な。 ディルグ:言わなかったか? 俺の姉貴はそう簡単に死ぬようなタマじゃねぇよ。 ルフェリア:ふん……素直じゃないやつだ。 勝手にしろ。 ディルグ:また、帰ってくるんだろ? ルフェリア:……帰ってはこない。       会えるとしたら……戦場でだろうな。       ……今までありがとう……またな。 ターグ:見つけたぞ! こんなところにいたか! ディルグ:なんだ、ターグか、どうした? 血相変えて。 ターグ:どうしたもこうしたもない! 早くあの女を追え! ディルグ:どの女だよ、俺は何も見ちゃいねぇよ。 ターグ:貴様……っ! ディルグ:なあ、ターグ、話がある。 ターグ:国を裏切るようなマネをするお前に話などないわ! ディルグ:女一人見送るだけで国の裏切りか……ずいぶんと器量(きりょう)の狭い国だな。 ターグ:女一人だと!? あの女は敵国の将軍だ!     あの女に我が国の兵士が何人斬られたことか……! ディルグ:待てよ。 ターグ:うるさい、黙……れ……。 ディルグ:待てっつってんだよ。 ターグ:貴様……いつの間に剣を……。 ディルグ:俺の話は終わってねぇぜ。 ターグ:何だ……? 人に剣の切っ先を向けたまま……。     脅迫のつもりか……? ディルグ:……ああ、そうかもしんねぇな。 兵士:おい、待て、ここから先は城内だ。 ルフェリア:……だからなんだ? いいからそこをどけ。 兵士:お前のような身分のわからぬ者を通すわけにはいかん、今すぐ帰れ。 ルフェリア:はぁ……おい、お前はどこの部隊だ。 上官を呼べ。 兵士:貴様、ほどほどにしておけ……。 サジタリス:お前もほどほどにな。       おい、お前、下がっていいよ。 兵士:サ、サジタリス様……しかし……。 サジタリス:しかしもなにもないよ。       お前、自分の国の将軍の顔も忘れたのか? 兵士:はっ……? サジタリス:あー、もういいよ、この方は将軍だ。       カルクラット騎兵団第2連隊のルフェリア将軍だよ。 兵士:え……!? し……失礼しました! ルフェリア:分かれば構わん。 少しは上の顔も覚えていろよ。 兵士:ははっ! サジタリス:……で、どうしてたんだよ? ルフェリア:……記憶がなくなっていた。 サジタリス:はあ? 何言ってんの? ルフェリア:あの平野の戦いの後、記憶がなくなってたんだ。 サジタリス:本当か? じゃあ、その間はどこにいたんだよ?       今はもう記憶は戻ったのか? ルフェリア:ああもう、うるさい。       こうして私が戻ってきたのだから構わんではないか。       ところでサジタリス、ルサーガ王国への本城侵攻はこれからだな? サジタリス:……へいへい、細かくは聞かないよ。       しかしお前もいいタイミングで帰ってきてくれたな。       ルサーガ王国への侵攻は、明日だよ。 ルフェリア:明日か……サジタリス、頼みがある。 サジタリス:なんですか? 将軍殿。 ルフェリア:一般兵の枠でも構わん、私も明日の戦いに参戦させてくれ。 サジタリス:おい、大丈夫か? 戻ってきたばっかりで。 ルフェリア:ああ、別に怪我をしていたわけではない。       すぐにでも参戦可能だ。 サジタリス:そうか、一応、お前がいないことを前提に布陣を考えていたが……。       お前を即戦力として考えてもいいのなら、戦略を変える。 ルフェリア:ああ、構わん、軍師のお前の好きなようにしろ。 サジタリス:……お前、変わったな。 ルフェリア:何がだ? サジタリス:ふふ……目だよ。 ルフェリア:何を言っているんだ? サジタリス:一人であろうとルサーガ王国を滅ぼす、そんな目になってる。 ルフェリア:……ふん。 サジタリス:それなら話は早い、お前が望むのは先陣だな。 ルフェリア:お見通しか……。 サジタリス:ルフェリア将軍として一部隊お前にまかせる。       敵の戦列を崩すように存分に剣をふるってくれ。 ルフェリア:ああ……恩にきる。