Knight Memory Tale 第三話 記憶の欠片 ルフェリア(♀) おとなしい、記憶をなくしている ディルグ(♂) ぶっきらぼう、現実主義 リュティ(♀) 元気でお気楽主義 ターグ(♂) 偉そう、嫌なやつ ディルグ:おう、ただいま〜、今日はなかなか魚釣れなくてな〜。 リュティ:え〜、じゃあちょっと待ってて〜、お隣さんから野菜もらってくる〜。      お姉ちゃんも一緒にいこ、ね? ルフェリア:うん、この前は大きなキャベツもらっちゃったもんね。 リュティ:あっ、この服お姉ちゃんに似合うんじゃない?      ちょっと着てみてよ〜。 ルフェリア:ええっ? これ? ……ちょっと……恥ずかしいかなあ……。 リュティ:いいっていいって、お姉ちゃんスタイル抜群なんだしー! ルフェリア:ええ〜、そんな照れるからやめてよ〜。 ディルグ:ルフェリアもやってみるか? 釣り。 ルフェリア:あっ、やる〜。 どうやるの? ディルグ:こうやって餌をつけて……な、簡単だろ。 ルフェリア:あとはこうやって……。 ディルグ:お、いい振りしてるな。 これならいい感じで釣れそうだ。 ルフェリア:えへへ、これで夕食のお魚も倍だね。 リュティ:お姉ちゃん、この味どお? ルフェリア:うん、おいしい。リュティは料理上手だね。 ディルグ:あんまし調子にのらせるなよ〜。 リュティ:え〜、いいじゃない〜。 あんまり言うとお兄ちゃん夕食抜きよ〜。 ルフェリア:あはは、自分が釣ってきたお魚なのにね。 ターグ:失礼する。 リュティ:えっ? あ、はい……。 ターグ:ここはディルグの家で間違いないな? リュティ:え……ええ、そうですけど……。 ターグ:ディルグはいるか? リュティ:いえ、兄は今は外出してますけど……。 ターグ:ちっ、そうか、邪魔したな。 ディルグ:ただいま〜。 ルフェリア:ごめーん、遅くなっちゃった。 リュティ:あっ、お兄ちゃん……。 ターグ:ちょうどよかったな。 ディルグ、久しぶりだ。 ディルグ:……なんだよ、何か用かよ。      言っておくが、俺はもう軍には戻らんからな。 ターグ:ふん、そう言っていられるのも今のうちだ。     お前も知っているだろう? この前の平野の戦い。 ディルグ:あー、知ってるからなんだってんだよ。      今の俺には関係ねぇ。 ターグ:あの戦いで我が軍は大敗をきした。     今は一般市民も徴兵されて……。 ディルグ:あのな、言っておくがな、俺はてめぇの指揮するような軍には戻る気はねぇ。      人間を捨て駒みたいに扱うようなてめぇの顔は見たくはねぇんだよ。      ふん、こんな国、滅んじまえばいいんだ。 ターグ:貴様、そのような発言……っ! ルフェリア:あの! すみません……こんなところでケンカはやめてもらえますか? ディルグ:ふん。 ターグ:ん? なんだ? お前は。 ディルグ:てめぇには関係ねぇよ。 さっさと帰れ。 ターグ:この女……確か……。 ルフェリア:え? 私が何か……? ディルグ:おいリュティ、お客様のお帰りだ。      丁重に塩まいてお返ししてやれ。 リュティ:はい、お兄ちゃんお塩てんこもりっ。 ターグ:き、貴様らっ! ディルグ:もう来るんじゃねぇぞ。 ターグ:おい! 待て!     ……ちっ……しかし、あの女……どこかで見たことのある顔だったな……。     ……ふん、まあいい、どうせディルグが軍に戻ってくるのも時間の問題だ。 リュティ:ねえ、お兄ちゃん、誰なの? あのおっさん。 ディルグ:ああ、あいつは軍人だよ。      この国の軍部でも軍師として戦争を指揮しているやつだ。      このところの戦いで負け続けて兵士が足りねぇんだろうな。 ルフェリア:ディルグ……ディルグは戦争には行かないんだよね? ディルグ:ああ、行かねぇさ。      ま、あのいけすかねぇ軍師どもがいなくなっちまえば考えはするけどな ルフェリア:そう……なんだ……。 リュティ:まあ、そうよね〜、将軍のお給料って結構よかったもんね〜。      あの頃は贅沢できてたもんね〜。 ルフェリア:ええっ? リュティは反対しないの? リュティ:え? なにが? ルフェリア:その……ディルグが戦争に行くのよ?       えっと……死んじゃうかも……しれないんだよ……? リュティ:あっははは、お兄ちゃんが死ぬことなんて考えられないよ〜。      お兄ちゃんさ〜、こう見えてもすっごく強いんだよ〜。      お姉ちゃんと一緒で、そう簡単に死ぬようなタマじゃないんだから。 ディルグ:お前……しれっとひでぇこと言ってねぇか? リュティ:えー、そう? 褒めてるんだよー。      でも、お兄ちゃんが将軍になりたくない、って言ってるなら仕方ないよね〜。      まあ、別にあたしは今の生活に不満はないし。      新しいお姉ちゃんもできたしね〜。 ルフェリア:そっか……そうね、今の生活が続けばいいよね。       ……戦争……か……。       ……私も……あの人の顔……どこかで……。 ディルグ:ん? どうした? ルフェリア:えっ? ……い、いや、なんでもないよ。       ね、早くご飯食べよ、今日はお魚たくさんとれたんだし。 リュティ:おお〜〜、今日は大漁だったの?      よーし、腕によりをかけて作っちゃうよ〜!