Knight Memory Tale 第一話 無くした記憶 ルフェリア(♀)おとなしい、記憶をなくしている ディルグ(♂) ぶっきらぼう、現実主義 ルフェリア:……うっ……くっ……冷たい……。       風が……吹いてる……。       私は……ここで何を……?       ……っ! 何……!? これは……!?       なんでこんなに人が……死んで……っ!       鎧……戦い……?       戦いの……後……?       ……っ! 血……!?       血が……こんなに……!       なんで私、こんなに血まみれに……!?       いやっ……いやああ!! ルフェリア:はあっ、はあっ、はあっ……。       川……?       洗わなきゃ、血を……洗わなきゃ……!       血が……とれないっ……!       いやっ……血がとれないっ! ディルグ:おい、何やってんだ? ルフェリア:えっ? ディルグ:何やってんだよ、こんな真冬に川で水浴びなんて。 風邪ひくぞ。 ルフェリア:えっ、いや……あの……私……。 ディルグ:ほら、とりあえずこれかぶってろ。      薄い防寒着だけど、ないよりはマシだろ。 ルフェリア:あ……うん……ありがとう……。 ディルグ:まだ今日は魚は釣れてねぇが、先に火ぃ起こすか。      ……ん? どうした? 寒いか? ルフェリア:う、うん……。 ディルグ:火おこしてやるから、もちっと待ってろよ。      よっ、と。 今日は乾燥してるし、すぐに火は大きくなるだろ。 ルフェリア:……暖かい……。 ディルグ:しかしまあ、なんで川で水浴びなんて……。      って、お前、血だらけじゃないか、大丈夫か? ルフェリア:えっ? う、うん……私は大丈夫……。 ディルグ:……そうか、昨日、この辺りで戦いがあったって聞いたな      それに巻き込まれたのか? ルフェリア:……分からない……。 ディルグ:ん? お前、家はどこだ? ルフェリア:……分から……ない……。       気が付いたらまわりにたくさん人が死んでて……。 ディルグ:乱戦で頭を殴られたのか、戦いのショックがでかかったのか。      原因は分からねぇが、記憶が飛んじまったのか。 ルフェリア:……うん……たぶん……何も、覚えてないの……。 ディルグ:名前は? 自分の名前は覚えているか? ルフェリア:名前……私は……ルフェリア……。      でも、それ以外のことは何も……。 ディルグ:そっか、ルフェリアか。 ルフェリア:あなたは? ディルグ:ん? ああ、俺はディルグだ。 ルフェリア:ディルグ……さんね。 ディルグ:ディルグで構わねーよ。 ルフェリア:あっ……うん、ディルグ……ね。       ……何しているの? ディルグ:ん? 見ての通り、釣りだよ。      今は俺は職についてねぇからな。      家で食う分、釣りでまかなってるんだよ。 ルフェリア:そう……なんだ。 ディルグ:最初に釣れた魚、もう焼けたみたいだな。 食うか? ルフェリア:うん……おいしい……。 ディルグ:そっか、お前、自分の家がどこかも忘れちまったんだよな。 ルフェリア:うん……名前以外……思い出せない……。 ディルグ:ふーん……まあ、とりあえずウチくるか? ルフェリア:えっ? ディルグ:心配すんなよ、とって食ったりしないから。 ルフェリア:いや……いいの?こんな……血まみれになってる女を泊めても……。 ディルグ:ああ、自覚あんのなら問題ねぇよ。      ま、気にいらなきゃ他の宿を探せばいいしな。 ルフェリア:……ごめん、ありがとう。