とある国家の風景3 〜軍師〜 エルミス(♀) クール、根は優しい ソライア(♂) 沈着冷静、礼儀正しい エルミス:よっ、仕事してるか? ソライア:もう今日の分は終わりましたよ。      どうしたんですか? エルミス:いや、特に用事はないんだがな。 ソライア:そうですか、お茶でも飲んでいきますか? エルミス:ん、頂く。 ソライア:はい、少し待ってくださいね。 エルミス:あー、そうだ、昨日、兵士になりたいって奴がいたから雇用したぞ。 ソライア:へえ、珍しいですね、こんな時期に。 エルミス:給料安いからやめとけといったんだがな。      ……そういえば、今だと新人兵士の給料てどれくらいだ? ソライア:今ですか……そうですね、月4万てところでしょうか。 エルミス:うわ、少ないな。 ソライア:訓練に参加すれば多少は上乗せするようにしてますけどね。      いまや、一般兵はアルバイトしている時代ですよ。 エルミス:変わったな……3年前に比べると。 ソライア:3年前は戦争真直中(まっただなか)でしたからね。      こういうのは不謹慎ですが、やはり戦争の経済効果は大きいですよ。 エルミス:だろうな。 手柄をあげれば、ほいほいとボーナスが出ていたしな。 ソライア:そうですね、どこからお金を捻出していたんでしょうね。      はい、どうぞ、先日おみやげにもらったお茶です。 エルミス:ん、ありがとう。      戦時中は名をはせた軍師二人が昼間からのんびりお茶か。 ソライア:まあ、こうして城でのんびりできるだけでもいいじゃないですか。 エルミス:それもそうだな、私は人事、お前は会計で仕事もらえたしな。 ソライア:さすがに軍師クラスの人間を給料ドロボウさせるわけにはいかないでしょうしね。      かといって手放すのも惜しいという大臣の考えなんでしょうね。 エルミス:戦時中は、士気のエルミス、理論のソライアと敵国にも噂されていたらしいぞ。 ソライア:それは光栄ですね。      確かに、エルミスさんの進軍のタイミング、戦列の建て直しの指揮は素晴らしかったですよ。      そんな細かい兵士への指示が買われて人事をまかされたんでしょうね。 エルミス:そうか? 私にしてみればお前の作る陣形、隊列、戦略図はすごいと思っていたがな。 ソライア:私は状況に応じて最も理にかなった戦略をたてていただけですよ。 エルミス:まあ、その計算を買われて会計に、なんだろうな。 ソライア:はは、戦略と会計はまったく別物ですよ。      大臣の先入観でしょう。 エルミス:……あの頃はよかったな……こう、自分の力を発揮できた感じで。 ソライア:そうですね。 やはり軍人は戦いに身を投じるものですね。 エルミス:……戦争起こすか。 ソライア:いいですね。 エルミス:冗談だよ。      ……って、お前、なんだその紙? ソライア:宣戦布告書です。 エルミス:いやまて、冗談だ! 何でそんな物騒なものを持っている!? ソライア:後はここに王のサインをもらうだけです。 エルミス:いや、そういう問題じゃない!