とある教室の風景15〜教科書落書き〜 ■ 野坂 16歳 ♂ テンション高いおばかさん。 とにかく勢いでもっていこうとする。 ■ 宮本 16歳 ♂ やる気なし男。バカか頭いいか分からない。 勝手に自分の世界に独走していくのが得意。 ■ しほ 16歳♀高校二年 引っ込み思案で、何事にも裏に裏に考えてしまう。 大人しく、口数は少ない。最近趣味が暴露されつつある。 宮本「は〜……、学校の授業ってどうしてこうも退屈なんかねぇ」 野坂「全くだよな〜、歴史の年号とか覚えられるかっての」 宮本「なんだっけ、いい国作ろう鎌倉幕府だっけ?」 しほ「あの……それ、古いよ、今はいい箱作ろう鎌倉幕府、だよ」 宮本「へ〜、親父から聞いてずっと1192年だと思ってた」 野坂「そういうのってずっと印象に残るからな〜」 宮本「教科書にもそう書いてあったっけ」 野坂「……ぶっは、なんだそのお前の教科書」 宮本「え?」 野坂「ぎゃはは、源兄弟ひげだらけじゃねーかよ」 しほ「……くすくす」 宮本「だってよー、歴史の授業って暇じゃねーか」 野坂「うわ、平将門にグラサンって、お前ひでーなっ」 しほ「源頼朝×源義経……兄弟かあ……」 宮本「歴史上の人物がタイムスリップしてきたら、こんなグラサンかけてもおかしくないよな」 野坂「どんだけ落書きしてんだよ、こっちはビン底メガネだし」 宮本「ちょっとお前の教科書も貸してみ」 野坂「あ、おいっ!」 宮本「俺の教科書、もう書くとこなくってなー」 しほ「……ほとんど全部の人物に落書きしてあるね……」 宮本「さらさらっ、と、どうよ」 野坂「ちょ、おま、織田信長の額に肉の文字とか、ぎゃはは」 しほ「豊臣秀吉は目のクマがすごい……」 宮本「徳川家康はどうかな〜、こうか?」 しほ「ぷっ……ほっぺたに日の丸って……くすくす」 野坂「マジだ、こいつが江戸幕府作ったとは思えねーな〜」 宮本「ちょっとしほの教科書も貸してくれよ」 しほ「えっ!? いや、私のは……!」 野坂「いいじゃん、宮本画伯に描いてもらおうぜ!」 しほ「だ、ダメっ……!」 宮本「さーて、そうだな、室町幕府の辺りから攻めて……」 野坂「どれどれ〜……」 しほ「あわわ……」 宮本「足利義満……すごいイケメンに落書きされてるぞ……」 野坂「確か坊主のはずだったのに、なんだこの金髪イケメンは……」 しほ「そ、そのっ……こ、こういうのもいいかな〜、って……」 野坂「うおっ、隣の足利義政はロン毛の銀髪美男子じゃねーか」 宮本「……ん? 金閣寺はこの血縁関係にある二人の禁断の愛の園で……」 しほ「きゃー、声に出して読まないでー!」 野坂「すげっ、金閣寺、薔薇の庭園が描かれてる、しほって絵うまいんだな。    これは芸術だな〜、美術室に展示してもらおうぜ」     しほ「いや〜! やーめーてー……!」