とある教室の風景11〜ドジョウ〜 ■ かなみ 16歳♀高校二年生 元気系、ちょっとあほな子。どうでもいいことに関心を示す。 負けず嫌いだが、理不尽なことを連発するため、ちょっと残念な子。 ■ 園田 16歳♂高校二年生 ツッコミが激しくて、ちょと口が悪い。 早合点しやすく、不発ツッコミが多い。 かなみ「ドジョウすくい、ってあるじゃない?」 園田「それがどうした?」 かなみ「なんでドジョウすくいって、あんな間抜けなダンスなんだろうね」 園田「間抜けなダンスって……あれはダンスじゃないだろ。    どっか地方の舞踊(ぶよう)かなんかじゃないのか?」     かなみ「ぶよう? 何それ、ブドウの仲間?」 園田「踊りだよ、おーどーりー」 かなみ「トゥース!」 園田「お前……ノリだけで会話脱線させるのやめろって……」 かなみ「えー、だって、オードリーでしょ?     春日おもしろいよね」      園田「いや、知らんし……」 かなみ「えー、園田、オードリー知らないの?」 園田「知ってるけど、って、いや、ドジョウすくいの話はどこいったんだよ」 かなみ「あっ、そうそう、あれってどんなダンスだっけ」 園田「だから、ドジョウすくいをダンスというのはやめろって」 かなみ「ちょっと園田、踊ってみてよ」 園田「はぁ!? 何で俺が……」 かなみ「いいじゃん、ちょっとだけ〜。     そしたらなんか思い出せそうだからっ」      園田「なんかこう、がに股ですくうように……」 かなみ「あー、もう、ダメダメね園田」 園田「人にやらせといて何言ってんだ!」 かなみ「そんなんじゃダンス甲子園に行けないよ」 園田「いや、ドジョウすくいでダンス甲子園に行くつもりないし。    ていうか、ダンス甲子園に出場する気もないし」     かなみ「えー、頑張ろうよー、いまどきドジョウすくいなんて珍しくてうけるはずよ。     あ、そうだ、今ふうにアレンジしたらどうかな」      園田「どうアレンジするんだよ」 かなみ「こう、手をシュッシュッって」 園田「それ思いっきりパラパラじゃねーか!    古いし、それじゃドジョウすくえねーし!」     かなみ「そこは気合で!」 園田「気合でなんとかなるか!」 かなみ「でも、何か足りないんだよね〜、なんだろ」 園田「あの、ひょっとこの面じゃないか?    ドジョウすくいと言えばあれだろ」     かなみ「あ、そうだ! それそれ!     園田、ひょっとこの顔してみて!」      園田「だから、なんで俺が!    てか、お前がやってみろよ」     かなみ「こぅ?」 園田「……う……お、お前、しれっと顔芸うまいな……」 かなみ「ほら、あたしもやったんだから、園田もやってみてよ」 園田「こ、こうか?」 かなみ「もっと口をぐにって曲げて〜。     そして手をシュッシュッて」 園田「む、ぐぐぐ……」 かなみ「きゃはは、ばっかじゃない、見て見てりさー、園田のドジョウすくいパラパラ」 園田「お前ー! 散々人にやらせときながら!    しかも、ドジョウすくいパラパラって何だよ!」