とある教室の風景9〜癒し系〜 ■ かなみ 16歳 ♀ 元気系、ちょっとあほな子。どうでもいいことに関心を示す。 負けず嫌いだが、理不尽なことを連発するため、ちょっと残念な子。 ■ あいり 16歳 ♀ 姉御系。上手なツッコミ役。 なにげに沈着冷静。 かなみ「最近さー、癒し系って多いよね〜」 あいり「そう? もう結構ブームは過ぎたと思うんだけど」 かなみ「そんなことないわよ、いまや雑貨屋さんの半分は癒しグッズよ」 あいり「いや、それは言いすぎだと思う」 かなみ「不況の今、癒しって大切よね〜」 あいり「あんたはどこぞのサラリーマンか」 かなみ「ねーねー、あいりの癒しアイテムって何?」 あいり「あたし? 別にこれといって持ってないかな」 かなみ「ダメよ、そんなことじゃあ!」 あいり「別に、癒しアイテム持ってなくても大丈夫でしょ」 かなみ「そんなことないわ! こう言っている間にも、あいりの心はどんどんすさんでゆく〜〜」 あいり「すさんだからって、どうだっていうの?」 かなみ「……そうね、あいりの心は最初からすさみっぱなしだもんね」 あいり「そうねー、あたしの心はすさみっぱなしだわ」 かなみ「よおおし! そんなあいりにこれっ!」 あいり「なにこれ? ストラップ?」 かなみ「そうよ、これぞ癒しの最前線、リラックマストラップ!     これであいりの心は守られたあ!」 あいり「はいはい、ありがとー。     で、これ、くれるの?」 かなみ「いや、これはあたしのだからあげない。     ほらほら見て見てー、この愛らしいリラックマ!     癒されるでしょ? 癒されるでしょ〜?」 あいり「そうねー、癒されたわー」 かなみ「だめだー! あいりの心はすさみきってるうう!     心がこもってないの、こもってないのよー!」 あいり「そんなこと言われてもねー。     人には好みもあるし」 かなみ「じゃあ、どんなのなら癒されるの?     例えば……カレシとかあ?」 あいり「別にー、彼氏いないし、気になる男子もいないし」 かなみ「うわー、だめだー、あいりったら枯れちゃってる!」 あいり「枯れるって、あんたまたひどい言いようね。     そういうかなみはどうなのよ」 かなみ「あたし? あたしにはこのリラックマがいるもん」 あいり「あら、かなみの彼氏ってリラックマ?」 かなみ「……そ、それは素敵かもっ」 あいり「そう思えるんだったら幸せね」 かなみ「だって、リラックマが彼氏だったら毎日癒されるんだよー」 あいり「じゃあ、リラックマを彼氏にしたら?」 かなみ「うん、そーする!」 あいり「ところで、そのリラックマってオスなの?」 かなみ「えっ?」 あいり「というか、人間じゃないものね」 かなみ「いや……でも癒しの彼氏……」 あいり「かなみの彼氏って人間じゃないのねー。     彼氏できないからって、動物にも手を出しちゃったか」      かなみ「うわあああん! それはひどいー!」 あいり「自分で選んだ相手でしょー?」 かなみ「あいりの鬼! 心すさみん! 枯れ枯れガール!」 あいり「かなみ、いろいろと、もう少し考えてから発言するようにしようね」