とある教室の風景7〜勉強とタイムマシン〜 ■ 宮本 16歳 ♂ やる気なし男。バカか頭いいか分からない。 勝手に自分の世界に独走していくのが得意。 ■ りさ 16歳 ♀ 大人しい系、インテリメガネ。典型的なツッコミ役。 たまに勢いでキャラが崩れたり、盲目的になったりする。 宮本「はぁ〜……タイムマシン欲しいなぁ」 りさ「どうしたのよ、いきなり」 宮本「なあ、りさ、タイムマシン欲しくないか?」 りさ「え? まあ……そりゃあ、あったら便利だろうけど」 宮本「タイムマシンで過去に行ってさー、この勉強ってやつを作ったやつを暗殺すれば」 りさ「暗殺て……あなた過激すぎよ」 宮本「まー、そこでこの勉強って制度をなくしてしまえばハッピーに学生生活送れるのにな〜」 りさ「で、その勉強って制度を作ったのは誰なの?」 宮本「……誰なんだろ? 歴史の教科書に載ってねーかな」 りさ「うわあ……なにそのあなたの教科書、ヒゲの落書きばっかりじゃない」 宮本「目次とかに載ってないかな、『勉強を始めたのはコイツだ!』みたいな」 りさ「載ってないでしょうね〜」 宮本「お、聖徳太子とかあやしくね? いろいろ制度作ったみたいだから、勉強してそうだ」 りさ「勉強してそうって……勉強しなさい、って言ったのとは違うんじゃない?」 宮本「うーん、そうだな」 てことは、もっと最近の人かな」 りさ「そうね〜……江戸時代の寺子屋なんてあやしいんじゃないかしら」 宮本「おおっ、それだ」 じゃあ、いっちょ寺子屋潰してくる」 りさ「頑張ってね〜」 宮本「……まあ、タイムマシンがねーしな」 りさ「そもそも、勉強なんてのは好きでやるものよね。 自分が興味があることを追求するのが勉強、なんだから」 宮本「じゃあ、なんて勉強を義務にしたんだろうなー」 りさ「逆にきくけど、じゃあなんであなたは義務教育じゃない高校に入学したの?」 宮本「……なんでだろーな?」 りさ「特になにも目標はなかったのね……」 宮本「考えたら、別に小学生くらいの知識でも生活できるよな〜」 りさ「生活はできるかもしれないけど、仕事は限られるかもしれないわね」 宮本「そうか? 肉体労働とかなら大丈夫なんじゃね?」 りさ「そうね〜、例えば建築現場。    『四角の枠作るから縦2メートル、横4.5メートルになる木材と釘持ってきてくれ』    って言われたとしたら?」 宮本「2メートルの長さの木材と4.5メートルの長さの木を2本持ってくる」 りさ「釘は?」 宮本「ん? 適当でいいんじゃねぇか?」 りさ「はぁ〜……それじゃあなた怒られるわね。    木材の厚さを含めて2メートルと4.5メートル、木材の厚さよりも長い釘を探してくる。    四隅を切りとって木の厚さを計算しないのなら、どうやって先を三角の形に切り取るか。    小学生にそんなことできる?」 宮本「できるんじゃね? 小学生の時に図工とかやってたし」 りさ「そんなんじゃ、あなたの作った家はあっさり倒壊するわね」 宮本「そうか? なんとかなるんじゃね?」 りさ「もし私が社長なら絶対あなたは雇用しないわ」 宮本「別に雇用してくれなくてもいいけどさー、とにかく、俺はこの勉強っていう制度がなくなればいいんだよ」 りさ「じゃあ、自分でタイムマシン作ったら?」 宮本「お、それいいな、どうやったら作れるんだ?」 りさ「そうね、とりあえず相対性理論とかを『勉強』すればいいんじゃない?」 宮本「それじゃ本末転倒じゃねーか。    誰か作ってくれねーかなー」 りさ「他力本願ね……」