とある教室の風景1〜ニンジン〜 ■ かなみ 16歳 ♀ 元気系、ちょっとあほな子。どうでもいいことに関心を示す。 負けず嫌いだが、理不尽なことを連発するため、ちょっと残念な子。 ■ りさ 16歳 ♀ 大人しい系、インテリメガネ。典型的なツッコミ役。 たまに勢いでキャラが崩れたり、盲目的になったりする。 かなみ「ニンジン……ってさー」 りさ「ニンジン? それがどうかしたの?」 かなみ「なんでニンジンっていうのかな?」 りさ「……知らないわよ……いきなりどうしたの?」 かなみ「ニンジンってさー、漢字で「人参」って書くじゃん?」 りさ「それが何だっていうの?」 かなみ「人が参る、だよね。     野菜なのに人が参るなんて変じゃない?」 りさ「別に変じゃないわよ、名前なんてそういうもんじゃない?」 かなみ「いーや、ニンジンには人が参るような隠された秘密があるのよ、きっと!」 りさ「人が参るような秘密って……なによそれ」 かなみ「昔むかし、大根作ってた農家のおっちゃんが、オレンジ色の大根見つけたのよ!」 りさ「……はぁ?」 かなみ「それで珍しいからって神社に祀った(まつった)のよ!     それで人が参拝(さんぱい)に来るようになったから人参って名前がついたに違いないわ!」 りさ「あー、そうですかそうですかー」 かなみ「何よ、人の話にケチつけるの?」 りさ「あのねー、だいたい大根の中にいきなりニンジン生えてくるわけないでしょーが」 かなみ「だから珍しかったの!」 りさ「そもそも大根の葉っぱもニンジンの葉っぱも全然別物でしょー。    なんかもうツッコミどころ多すぎて、どーでもいいわ……」 かなみ「はっはっは〜、あたしの勝ちね!」 りさ「はいはい、あなたの勝ちよー」 かなみ「何よ、張り合いないわね。     何か反論ないわけ?」 りさ「えー……じゃあ、なんで大根は大根って言うわけ?」 かなみ「え? ……うーん……。     根っこが大きいからよ! りさ「そのまんまじゃない……」 かなみ「そのまんまで何が悪いのよー、名前なんてそんなもんじゃない?」 りさ「それ、さっき私が言った言葉なんだけど……」 かなみ「話をそらさないの! 今は人参の話よ!」 りさ「いや……反論して欲しいて言ったのあなたなんだけど……」 かなみ「大根と人参は別物よ、あたしは人参の反論をして、って言ったのー」 りさ「あー、もうめんどくさいわねー……」 かなみ「何してるの?」 りさ「ググってるの」 かなみ「おおー、さすが りさ! 伊達(だて)にインテリメガネじゃないわね」 りさ「人参は、形状が人の形に似ているから人参、て名前なんだって」 かなみ「えー、全然似てないじゃん」 りさ「ほら、高麗人参(こうらいにんじん)とかって先がわかれているのとかあるでしょ?    あの形が人の形みたいだから……」 かなみ「えー、大根に紛れてたから珍しくて人が参って人参よー、絶対」 りさ「……あー、もうそれでいいから、人に教えちゃダメよ」 かなみ「あっ、さゆか〜、人参の名前の由来って知ってる〜?」 りさ「だからウソの知識をばらまくなー!」